正しいSEO対策と間違ったSEO対策

インターネットで目的のサイトを探したり何かを調べようとするとき、ほとんどの人がキーワード検索という手段を使います。そこで一番使われている検索エンジンがGoogleです。クローラー(巡回ロボット)と呼ばれるシステムがネット上を巡って無数にあるサイトの情報を取得し、そこから独自のアルゴリスムでサイトを評価して、検索されたキーワードに対して価値の高い順に結果を表示する仕組みになっています。

巡回してきたクローラーにサイトをインデックス(登録)してもらう際に、サイトの内容や目的をなるべく正確に伝わるように整えておくことを、検索エンジン最適化(SEO=Search Engine Optimization)といいます。例えば、サイトを構成するページ構造がクローラーに伝わりにくい、各ページのヘッダ情報にそのページの説明が入っていない、各ページの重要なタイトルがヘッダタグで強調されていない等で、クローラーが正確にサイトの内容や目的を把握できなければ、検索結果(順位)が悪くなってしまいます。正しく「最適化」が施してあれば、検索結果で1ページ目に表示されるものが10ページ目などに出てしまえば、アクセス数も全く異なって損をしてしまいます。Googleもサイトの登録申請(クローラーの巡回依頼)をする前に最適化をしておくことを勧めており、アドバイスのWEBページも用意しています。それを参考にして最適化を実施すれば良いわけです。

ところが、世間には目的の検索ワードで自サイトを上位に表示させようと、本来のサイトの価値以上のものをクローラーに伝えようとすることに躍起になっている人が多くいます。検索順位を決めるアルゴリズムを様々なデータから分析し、自サイトが有利に判断されるようにサイトを偽装するのです。(アルゴリズムの分析は自分でせずとも、ネット上で発信する人が多くいます)要するに、クローラーを騙すことによって順位を自分に有利なように操作しようとするわけです。

検索結果の順位を上げることを商売にしている業者も多くいます。これは先に言った通り、そのサイトの内容・目的をクローラーになるべく上手く伝えるようにするにはどのように改良(最適化)すれば良いかをアドバイスするのであれば、それは問題ありません。

しかし、実際には先に述べた「偽装」を施して、依頼者のサイトの検索順位を上げる業者が存在します。検索結果1位相当の価値があるサイトが「最適化」されていないため100位になっている場合、それを「最適化」するアドバイスをし、1位に表示させるのが正しいSEOです。100位相当のサイトであるのに、1位の価値のように判断させようとサイトを偽装するのが間違えたSEOです。

クローラーがサイトの価値を評価する要素は多数ありますが、その中で大きいのが外部リンクです。価値の高いサイトは、外部のサイトから参照(リンク)されることがが多くなるので、それが一つの価値の判断材料になっています。それを逆手に取って、予めリンク目的のサイトを外部に多数用意しておき、ライターと言われる人たちに報酬を払って関連記事を書かせ、検索順位を上げたいサイトを勧める形でリンクを貼って価値を高める偽装をする。そのようなことを行う業者もいます。

こうした「サイトを偽装して上位に割り込む」という行為が問題なのは、「Googleが独自のアルゴリスムで判定した価値の高い順に検索結果を表示する」という秩序が乱されることです。例えば、待ち行列は「早く到着した順に並ぶ」というルール(秩序)が決まっています。遅く来た人は、早く来て並んでいる人より前に入ることは許されません。これは当然のことです。これが、後から来たのに列の前の方へ割り込むことが許されたら、そもそも行列を作っている意味がなくなります。それと同じことです。価値の順列の秩序が乱されれば、検索ワードに関連したサイトは表示されるものの、価値の低いサイトが上位を占めるなど、価値の表示順に関してはデタラメに出るような結果になります。

一部の人間だけがやっても大勢に影響はないと思う人もいるかもしれませんが、実際は非常に多くの人がこの間違えたSEOをやっています。それに、やる人は当然、検索結果上位(特に1ページ目)を狙うので、上位ほど正確性を欠く事態になります。上位ほどよくユーザーにアクセスされることを考えれば、影響が小さくないことは容易に想像できます。

Google側は、こういった問題に懸命に対応をしており、度々、アルゴリスムやシステムの改良を行っています。正規の価値ある順序ではないものを検索結果で出されれば、Google検索を利用するユーザーにとっても非常にマイナスです。サイトを運営する人の多くがこういったことをすれば、検索エンジンというものの信用が失墜し、価値が低下していってしまいます。

注目すべき点は、世間の多くの人たちが利用しているサービスの秩序を乱しても自分さえ良ければいいという姿勢です。仕事として依頼を受ける人たちもそれで収入が得られれば、他に悪影響が出ようが関係ないと考えていることは明白です。これはその人間の倫理・道徳感に直結した問題です。(前述した偽装外部リンクの話しで、そのために代金を貰って記事を書いているライターも当然、この行為に加担していることを忘れてはいけません)

検索結果の上位に出るかどうかが収入に直結して、死活問題になる人も多くいることは分かります。しかし、インチキをして上位に割り込めば、正しいことをして上位にいた他のサイトの順位が下がる。下げられたサイトの中には同様にアクセスが落ちたら死活問題になるサイトもあるかもしれません。正しいことをしている人が、そういった利己的で身勝手な不正を行う者のために犠牲になるというのは、道理として間違えています。

Google側もそういった違反を行うサイトをインデックスから除外したり、検索結果を大幅に落とすなどしてペナルティを課しています。偽装テクニックを判別する技術も日進月歩で精度が上がってきているので、現在は検索結果の信用度も高いと思います。ただ、やる方もそれを解析して応戦するのでイタチごっこになります。

SEO(検索エンジン最適化)とは、「検索結果を上位に表示させる技術」という定義は間違えではありませんが、本来のサイトの価値以上に検索結果の上位に表示させる技術ではなく、正しくサイトの目的・内容・価値をGoogleに伝えるために「最適化」させ、本来あるべき順位に引き上げることです。(同じ「順位を上げる」という結果でもその意味はかなり違います)ですが、SEOの前に、サイトの順位を上げ、多くの訪問者を得るための基本はまず、サイトを訪問するユーザーにとって価値の高いサイト(役立つ・面白い・分かりすいなど)にするように心がけることです。それがもっとも重要なことで、SEOを行うのはその後の話しです。

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